独立な試行
私が確立の分野で特に挫折したのが「独立」という概念だ。まず独立とは、P(A) = P(A|B)が成り立つある事象AとBの関係のことだと学ぶ。さらにP(A|B)=P(A∩B)/P(B)を利用して、P(A)P(B) = P(A∩B)でも独立であることを証明できると教えられる。しかし、これらはどこか直観的に理解しにくく、また視覚的にもイメージしにくい部分が残る(一方で排反事象はベン図で見れば簡単に理解できる)。そこで今回は、「独立」を視覚的に現せるか考えてみた。
明らかに独立・独立でないケース
明らかに独立である試行の例として反復試行が挙げられる。例えば白玉が二つ、黒玉が三つ入った箱から一つ玉を引いて、戻してもう一度引くという操作を繰り返すとする。事象Aを「一回目の引きで白が出る」、事象Bを「二回目の引きで白がでる」と定義し、公式通りに計算するとこれらが独立なことが分かる。
P(B) = 2/5
P(B|A) = 2/5
よってP(B|A) = P(B)が成り立ち、AとBが独立であることが分かる。
これは直観的にも明らかで、同じ試行を繰り返すだけということは樹形図にそのまま同じ文意をコピーペーストすればよいだけだ。つまりP(B|A)がP(A)と違くなるわけがない。
一方で、一度引いたらもとに戻さないで上と同様の試行を繰り返すと:
P(B) = 2/5
P(B|A) = 1/4
P(B)とP(B|A)は等しく無いため、AとBは独立でないことが分かる。
これも直観的に明らかで、すでに白が引かれた状態であれば(元に戻さないため)、箱の中に白が入っている確率は明らかに変化する。
トランプで考えてみる
トランプセットから一枚ランダムに抜き取り、事象Aと事象Bがそれぞれ次のように定義されていたとする。
事象A: 4のカードが出る
事象B: スペードのカードが出る
これらが独立かどうかを検証しよう。つまり、「全体からトランプカードを引くとき4が出る確率」 vs. 「ハートを引いたとしてそのカードが4である確率」について考える。
上図を見ていただければわかるように、
P(A) = 4のカードの枚数/全部のカードの枚数= 4/52 = 1/13
P(A|B) = スペードで4のカードの枚数/スペードの枚数 = 1/13
P(A) = P(A|B) = 1/13だから、この二つの事象は独立しているといえる。
結論
以上、二つのセクションを通して独立について再考した。まず「交換あり」と「交換なし」の試行について独立性を調べた。そして、トランプの例で独立のイメージがさらに強くなったと思う。基本的に、独立を強くイメージする上で以下が重要なポイントだろう:
1. 樹形図や問題に適応させた図(例えばトランプカードが並べられた図)などをまず描く
2. 全体: P(A) と P(A) : P(A∩B)を比較する。これはBが起きる以前のAの確率と、Bが起きた後の(樹形図で言う、Bという分岐を選んだ時に)Aの確率に変化があるかがを調べているということ。
3. 確率というのは一種の「比率」であって、P(A)が絶対的な比率なことに対して、P(A|B)はBをベースにした相対的な比率。この比率に変化があるかどうかが独立性の決め手となる。
4. トランプカードの例を「独立性」の象徴的な例と捉えると分かりやすいと思う。特に「全体からトランプカードを引くとき4が出る確率」 vs. 「ハートを引いたとしてそのカードが4である確率」についてどちらも1/13だからこそ、この二つの事象は独立しているということを理解する。(逆に反復試行の例は少し特殊な例のため、この問題での独立をすべての問題に適応するのは難しいだろう。)